2014年12月24日水曜日

Morrissey TTY Statement / Alternative Christmas Speech (2014.12.08)


ファンサイトでありながら、半ばオフィシャルサイトになっているTrue-to-You.netに掲載されたモリッシーの最新コメントです。個人的には、女王のクリスマススピーチというものを知らなかったので、いかにも英国らしいと思いました。それにしても、この企画に乗っかり、スピーチをするモリッシーを見たかったです。 

URL : http://true-to-you.net/morrissey_news_141208_01 
出版日 : 2014128

以下、筆者による翻訳。

もう1つのクリスマススピーチ


モリッシーは、「もう1つのクリスマススピーチ」というChannel 4 Television(英国の公共テレビ局)の企画を、丁重に断りました。毎年1225日にBBCを通じて、女王は英国民に向けてスピーチを行います。この企画は、BBCがそのスピーチを放映する時間に合わせて、Channel 4が別の誰かのスピーチを放送するというものです。

以下、モリッシーからのコメントです。

「イギリスのために君主制を廃止すべきだという僕の意見は、まあまあよく知られている。でもクリスマスの日にまで、彼らを非難する必要はないよ。この日くらい、女王は英国民に年次演説を与え、熱烈な恍惚状態になることを許されてもいいはずだ。彼女は凍りついたようなポーズで喋り、僕らに与えたいもの、伝えたいことはもはや何一つ持ち合わせていないということを、またもや自ら証明する。現代の英国に彼女の居場所はなく、個人の考えというものを廃絶する、抑圧の象徴でしかない。彼女は確かに、イギリスで最も力強い女性かもしれないが、人々から愛されるための力は欠如している。そして彼女の家族は偽りの権力を拡大させ、合理的で知性を持った人々を攻撃する。
人々が自動的に敬うことを強いられる「王室の」家族なんてものがなくても、文明的で洗練された人々は世界中に存在している。イギリスだって同じことはできるはずだ。むしろそうすることで、より多くの尊敬を得ることになるよ。」

2014年12月18日木曜日

the Smiths Interview / International Musician (1983.10)



英国の音楽誌 "International Musician"1983年10月号に掲載された、the Smiths (モリッシー&ジョニー・マー)のインタビューです。バンド最初期の取材と思われます。二人の出会い、1stアルバムのレコーディング、音楽業界について語っています。アルバムリリース前のインタビューであり、その後の事実と相違する箇所がありますが、そのまま翻訳しています。モリッシーがギターについて語るくだりは、かなり興味深いです。
原本URL : なし
出版日 : 1983年10月

以下、筆者による翻訳。 

花々を振りかざし、エイドリアン・ディーボイ(International Musician誌の記者)につきまとわれながら、ザ・スミスがやってきた。

ザ・スミスは絶対に失敗しない。彼らはそう信じている。1976年の残骸が、その臭い吐息を振りまく中、ザ・スミスは新しい風を運んできた。爽やかな笑顔で、花を手に持ち、絶好のタイミングで現れた。魅力的でありながら少し変、そしてどこか気の抜けた音楽は、私たちを躍らせ、魂に訴えかける。

彼らは素晴らしく横柄で、彼らの意見はいつしか聴き手の意見になっている。ラブソングなど歌わず、セックスについて歌う。見た目だけ綺麗で耳障りな、巷の音楽とはまるで無縁だ。

ザ・スミスは理解し易い。彼らは私たちの言葉で歌い、一度聴いたら忘れられない曲を奏でる。文字を司り、歌うモリッシー。曲を司り、ギターを弾くジョニー・マー。ベースのアンディ・ルーク。ドラムのマイク・ジョイス。このありきたりなラインナップは、昨年マンチェスターで生まれた。

ホテルのバーでフルーツジュースを飲みながら、モリッシーとジョニー・マーは質問に答えてくれた。ザ・スミスは決して失敗しないと力説し、本誌が今まで積み上げた信頼の実績を、彼らに賭けみようという気にさせてくれた。

君はどうやって子供を連れ出し、育て上げたのか。そろそろ語ってもいい頃だよ。(“Reel Around the Fountain”の一節より。) 

J: 「モリッシーと一緒に曲を作ってみたかった。彼の噂は山ほど聞いていたし、歌詞を書いているとも知っていた。だから彼を追い詰め、一緒に23曲作った。本当に上手くいったよ。すぐに何曲も作り、レコーディングしようと決めた。そこでベーシストとドラマーが必要になった。僕はアンディを学校の頃から知っていて、今では最高のプレイヤーになっていると分かっていた。その後マイクを紹介してもらった。彼は本当にモチベーションの高いドラマーだよ。全員でスタジオに入ったとき、これはすごくなると確信した。この面子でやっていこうと決めたよ。」
M: 「とても自然な流れだったよ。奇妙だけど自然だった。最も自然に感じられることは、実はとても奇妙だ。そういうものだよ。僕らは口論したり、戦略を練ったりはしなかった。ただ流れに身を任せた。まさに完璧だったよ。」 
J:「最初に会ったとき、モリッシーと僕はどちらも、ダスティ・スプリングフィールドやシャンディ・ショーのシングル盤に対する情熱を持っていた。ピクチャースリーブに入った、最近のプラスチック板みたいなやつじゃないよ。素晴らしい演奏とプロデュースが施された、不朽の名作と呼べるレコードさ。」 

Q: 今日のザ・スミスは、あなたが思い描いていたバンドですか?
J:「まさにその通りだよ。ギターに支配されているのではなく、あくまでもメロディを生かすために使われている。このやり方はマイク、アンディの二人と、本当に上手く合うよ。アンディは驚くようなプレイをするからね。コード進行と曲名を伝えられただけなのに、彼にしかできない演奏をする。ライブバンドとしても、望んだ通りになっている。モリッシーという感情に訴えかけるボーカリストがいて、決してビートを逃さないアンディという勤勉なベーシストがいる。同じことがマイクにも言えるよ。バンドとはまさにこうあるべきだ。ソングライターとリズム隊という構成だね。」

ザ・スミスのデビューアルバム “The Hand That Rocks the Cradle”のレコーディングは終了し、トロイ・テートによって最終的な仕上げ作業が行われている。これまでに発表されたスミスの録音は、 “Hand in Glove”“Reel Around the Fountain”という2枚のシングル、そしてRadio Oneのために行った3回のセッションである。 

M:「正直に言うよ。セッションはあまり楽しくない。僕らの音楽が国中で流れることは素晴らしいよ。だけどセッション自体はあまり楽しいものではない。プロデューサーは飽きているし、スタジオに入った瞬間から、11秒が過ぎるのを気にしなきゃいけない。」 
J: 「最初にジョン・ピールのセッションをしたとき、そこの人たちの高圧的な態度にやられてしまった。でもトロイがやって来て、状況を改善してくれたよ。僕らはプロデューサーに話さなかったし、彼も僕らに話さなかった。何を言うべきか、お互いに分からなかった。でもトロイのおかげで上手くいったよ。」 
J: 「アルバム制作中も、トロイは偉大な存在だった。モリッシーと僕は曲に対して情熱的で、ベースやドラムの音を正しく録音するために、810時間も費やす。そういうときは、中立的な立場でアンディやマイクを励ましてくれる人が必要だ。僕らは車輪を持っていて、トロイはそれを動かしてくれた感じかな。スタジオも本当に良かったよ。良い雰囲気だった。ワッピング(ロンドンの東部地区)にあるエレファントスタジオさ。エアー(ロンドンの名門スタジオ)ではないけど、まぁエアーである必要もないしね。」 
M: 「究極のアルバムになってほしいよ。これからの余生、このアルバムは僕らにつきまとう。40歳になっても、このアルバムには僕らの名前が刻印されている。スタジオに入るときは毎回、そう考えて臨んでいるよ。」

君は簡単に流されやすいって人々は言う。まぁ半分くらいは正しいよね。(“Reel Around the Fountain”の一節より。) 

ジョニーのリッケンバッカーは注目の的だ。 

J: 「このギターについてはよく考えるよ。マスコミから注目を浴び始めてから、もっと考えるようになった。自分が影響を受けているものを、僕は分析したりしない。色んな人のプレイを焼き直して、自分のオリジナルだなんて言いたくないよ。」 
J: 「僕らの曲には一定のクオリティがあると思う。ギターで書かれていて、過去の音楽の歴史を受け継いでいる。僕らの曲には、フィル・スペクターっぽいもの、フェアポート・コンベンションっぽいものもある。曲を書くときは、ギターはもちろん、ストリングスやピアノのパートも想像している。ギターを完璧にマスターしたいという欲求は、高まっているよ。沢山のギターを買えるようになって、スタジオやリハーサルに割く時間が増えるにつれ、その思いは更に強まっている。」 
J: 「ギターの音色は自然に生まれたよ。ネオ・サイケデリックな音を目指していたとか、そういうことじゃない。ある日アンプをいじっていて、ちょっとベースが強すぎるなと思った。コーラスのエフェクターを使ったけど、どこか違った。だからリバーヴを加えて、いくらかプレゼンスも足した。気に入らない要素を排除していったら、あの音になったよ。ギターの音色はメロディックじゃないとね。もちろんギターは、パワフルにもリズミカルにもなれる。でも僕らのバンド編成、そして僕らの曲に求められるのは、メロディックさだよ。」 
M: 「ギターという楽器について、人々は誤った幻想を抱いている。ここ数年の使われ方は、ギターを完全に無駄死にさせているよ。 
M: 「シンセサイザーの台頭によって、ギタリストは窓の外へ追いやられてしまった。そして1979年からベースが流行り、ギタリストは再び追いやられてしまった。長時間ソロを弾き続けるような、下劣なギタリスト以外はね。でもジョニーが全て変えるよ。僕が保証する。」 

Q: ザ・スミスのレコードにシンセサイザーが登場することはありますか?
M: 「そんなことを考えても仕方ないよ。それよりはアスリートの脚とか、死について喋りたいね。シンセサイザーについては、何も言えないよ。」 

Q: モリッシーはスタジオで何をしているのですか?
M: 「飛んだり跳ねたり叫んだりそれは冗談で、僕の専門分野である声を管理している。スタジオにいるのは数日だから、あまり多くはできない。だから可能な限り完璧な形で、作品に貢献しなければいけない。それが僕の役割だ。もし何ヶ月間も使えるなら、全てを細かく分析しながらレコーディングできるけど僕らはそうじゃないからね。」 

Q: あなたの歌声はマンチェスターを思わせますね。 
M: 「自然な形にしたかった。誰が何と言おうと、僕はマンチェスターで生まれて育った。オーストラリア訛りで歌う理由はないよ。アメリカ人の真似をしても仕方ないし、僕にはボヘミアン・ラプソディなんてできない。トライする意味もまるでないよね。」 

Q: あなたの言葉は歌詞ですか? 詩ですか?
M: 「僕はジョニーの曲に歌詞を叩き付ける。それを詩と呼ぶ人もいるし、別の名称で呼ぶ人もいる。歌詞を書くときは、曲のテンポを想像しているよ。速い、遅い、中間テンポで歌詞の雰囲気が変わる。僕は沢山の歌詞を書いているよ。歌詞で埋まっている部屋もあるほどにね。」

この手を君の乳腺に触れさせてくれ。ねえハンサムな悪魔よ。(“Handsome Devil”の一節より。) 

私たちが日々気にかけていることについて、モリッシーは聡明で会話のような歌詞を書く。でも同時に、欲求不満、セックス、そして幼児虐待といった重要なテーマもつきまとう。こんないかがわしいテーマを歌うザ・スミスは、チャートとは無縁だろうか。 

M: 「チャートの中はいかがわしいテーマだらけだ。バカっぽい、というのはいかがわしいテーマだよね。でもチャートはバカっぽさで埋め尽くされている。僕らの曲はいかがわしくなんてないし、他の人にとってもそうだと思うよ。」 

Q: 大衆は「いかがわしい」ザ・スミスを受け入れる準備ができていますか?
M: 「もちろんさ。まだ慣れていないかもしれないけどね。大衆というものは、いつも浮かない顔をしている。僕らは頭を使って、賢い曲を書いていると思うよ。これが最もいかがわしいことかもしれないね。ちゃんと頭を使って書いたポップミュージックだ。とにかく僕は準備できているし、ジョニーも準備できている。他の皆も準備できているはずだよ。」 
M: 「普段レコードを買わない人々、コンサートに行かない人々に訴えかけていきたい。」

ザ・スミスは歌詞の面でも音楽の面でも、上品さを拒む。モリッシーはあなたの耳に言葉を吹きかけ、ジョニーはあなたの部屋の中で演奏している。親しみ易い一方、距離が近過ぎはしないだろうか。

J: 「ラジオで流れているような、聴き手から隔離された音楽に不満を持っている限り、僕らは誠実で触れ易い曲を作り続けるよ。何よりも僕らは、優れたミュージシャン、ソングライターとして認知されたい。僕らの曲はどれも自然に生まれくる。もちろんラジオ局はかけないタイプの曲だけどね。」

僕は君のものを笑い、あなたは僕のものを笑う。そして愛とはただの悲しい嘘だ。(“Miserable Lie”の一節より。)

Q: カルト的な成功と、大衆へのアピールをどう両立しますか?
M: 「自分の意志がいかに強いかが大事だよ。もし簡単にぐらつく程度の意思なら、ただ転落していくだけだ。どんな些細なことでも妥協したら最後、人々の関心は離れてしまう。レコードは売れるかもしれないが、誠実さを失ったことは誰の目にも明らかだ。誠実さを維持すれば、人々は信じてくれるよ。」 
J: 「妥協した途端、存在意義を失ったも同然だ。自分たちが信じる良い音楽を作って、人々に届けたい。自分の演奏をラジオで聞きたいだけなら、セッションミュージシャンになった方がいいよ。」 
J: 「誠実でありながら、成功して多くのレコードを売りたい。大衆受けもしつつ、僕ら自身が楽しめる曲を作っていくよ。中にはペダルスティール、ギター、そして声しか入っていない曲もある。もしそれが大衆受けしなかったら、今の音楽シーンがどれだけ腐っているか、ということだよ。」 

Q: 望む通りの形で作品をリリースすることは、大きな成功を収めることよりも大切ですか?
M: 「メジャーレーベルを疑問に思うのは、まさにその点だよ。僕らはアメリカのサイア・レコードと契約した。そしてラフ・トレードではレコーディング、アートワーク、その他全て、僕らが望む通りに作っている。作品に第三者の意見が入り込んでくるような契約なら、サインしないよ。」 
J: 「自分の曲が変えられてしまうなら、音楽をやる意味なんてないよ。プロデューサーによって音楽や大衆イメージが操作されるなら、もはや自分ではなくて、全く別のアーティストだよ。」 
M: 「考えうる最悪なことは、他人の意見を聞くことだ。多くの人が、その落とし穴にはまっている。人々はいつも、こうするべきじゃない、ああするべきじゃないと言ってくる。僕はもう、誰の意見も聞かないよ。聞く必要なんてないだろう。それはこのグループについても同じことだよ。僕らはやりたいことをやる。それで何かが起こるっていうのなら、それは起こるべきして起こったことだよ。」

僕は鞭をピシャリと打って、君は飛び跳ねる。でも君はそれに値するのさ。(“Handsome Devil”の一節より。)

Q: 成功することについて、どれほどの自信を持っていますか?
M: 「どうして成功しないのか、逆に聞きたい。僕らは成功を避けないし、成功を阻む要因を全く思いつけない。成功を蔑む人たちがいることは知っている。でもそれは、何一つ主張がないグループの言い訳だよ。僕らはマスコミから反発されているわけではないし、演奏する会場も大きくなっている。」 
M: 「全ては計画通りに進んでいるよ。こうなってほしいと思っていたことは、ある程度は実現した。この国中に広がるのを待つだけだよ。」 
J: 「そして僕らは本当に優れたミュージシャンになりたい。僕は19歳、アンディも19歳、そしてマイクは20歳だ。僕らは既に、最高のミュージシャンになりたいと思っている。アンディは世界一を目指している。本当だよ。」

一つになろう、太陽は僕らの背後から輝き始める。(“Hand in Glove”の一節より。)

M: 「僕らがやっていることには価値があって、この世の音楽産業、音楽シーン中で聞かれるべきだよ。可能な限り遠くまで、僕らの音楽をは届ける必要がある。薄っぺらくて、中身がないグループも大勢いる。でも最終的には彼らの名前が覚えられ、人々の唇は彼らの曲を口ずさむ。良くも悪くもね。僕たちは沢山の唇を征服しなきゃいけないようだ。」

ザ・スミスを受け入れよう。あなたは彼らの花を拒むことはできない。

2014年12月10日水曜日

Morrissey Interview / B92 (2014.12.10)

セルビア共和国の放送局である、B92が行ったモリッシーの最新インタビューです。モリッシーは同国首都ベオグラードで、1210日にコンサートを行いました。最後の方に嬉しい発言があります。

URL : http://www.b92.net/kultura/moj_ugao.php?nav_category=556&yyyy=2014&mm=12&nav_id=932354# 
出版日 : 2014124

以下、筆者による翻訳。  

あなたがまだ若く、周りから誤解されているとき。あなたの誠実さ、良かれと思ったことが誰にも気付かれないとき。自分を理解してくれる人は、一人もいないと感じるとき。スティーブン・パトリック・モリッシーがスミスのアルバムで書いた歌詞の中に、残酷な世界からの避難所があるかもしれない。だからこそ、多くの人々が彼を親友、家族の一員とみなし、中には神の化身と崇める人もいる。

一方で、モリッシーは常に率直で、全ての物事について意見がある。英国政治の政策、同性愛の権利、音楽シーン、またはメキシコ湾流(ガルフ・ストリーム)が大西洋の気温に与える影響まで、どんなトピックも明確かつ声高に、大衆に向けて意見を表明する。しかし皆が彼の意見に共感するわけではなく、多くの人々が反発していることも事実である。

モリッシーがポピュラー音楽の歴史において、最も才能ある詩人の1人であることは、紛れもない事実だ。今やクラシックであり、今後何十年にも渡り聴き続けられるスミスの作品、そして今なお継続中の芳醇なソロキャリアが、それを証明している。 

2006年のエグジット・フェスティバルに出演するため、モリッシーは一度だけセルビアを訪れたことがある。そして来る1210日の水曜日、今年リリースされたアルバム “World Peace Is None of Your Business”のツアーで、彼は初めて首都ベオグラードに降り立つ。この機会に、B92はインタビューを慣行した。彼が現在取り組んでいる作品、セルビアについての知識、今日のポップシーンについての意見、そしてスミスについて一言も触れない取材を受ける頻度について、聞いた。 

Q: 最近の調子はいかがですか? 
A: 僕たちの人生には何一つとして、保障されているものはない。調子が良いか悪いかは、まるで分からないよ。 

Q: 長いキャリアの中で、曲を書く方法に変化はありましたか? 
A: 全くないよ。僕は常に社会問題を扱う曲を書き、いつも人生に支配されている。人生はいかに酷いか、そのテーマから外れたことはない。僕はダンスフロアでハイになったことなんて歌いたくないだからラジオは僕の曲をかけないのかな。 

Q: もしあなたの音楽を全く聴いたことのない人が、あなたの作品に興味があると言ったとします。どのアルバムをまず薦めますか? 
A: 最近の作品かな… “World Peace Is None of Your Business” “Years of Refusal”“Ringleader of the Tormentors”“You Are the Quarry”、そして “Vauxhall and I”“Your Arsenal” “Southpaw Grammar”“Bona Drag”にも誇りを持っている。自分のアルバムを比べることは好きじゃないけど、スミスの作品よりはソロの方が気に入っているよ。 

Q: イギリスと比べて、アメリカに住むのはどうですか? 
A: 予測できる回答だとは分かっているけど、英国の天気は人々を怠惰にさせ、ロサンジェルスの太陽は、毎日を可能な限り有効に使おうという気にさせる。そもそも太陽がなければ、ベッドから出ようという気も起きないよ。 

Q: “World Peace Is None of Your Business”について、あなたの他のアルバムと比べ、特筆すべき点はどこでしょうか? 
A: いかなる意味においても、優れている作品だよ。音楽と声が完璧にシンクロしている。そして音楽シーンの中で、“I’m Not a Man”“Earth is the Loneliest Planet”“Staircase at the University”“Kick the Bride Down Aisle”“the Bullfighter Dies”といった曲たちと同じテーマを扱っているものは、存在しないと思う。タイトル曲も素晴らしいし、アルバム全体として、人々に何かを考えさせるものになっていると思う最近ではそういう作品はあまりないよね。 

Q: 今回のツアーで、セルビアを訪れるのはあなたの個人的なリクエストだったと聞いています。2006年のノビ・サド(*先述のエグジット・フェスティバル開催場所)ではどんな思い出がありますか? 
A: ひどい雨だったけど、誰も気に留めていなかった。観客はずっと歌っていて、素晴らしかったな。今回ベオグラードに来ることは、確かに僕のリクエストだったよ。ツアーで立ち寄るタイプの都市ではないかもしれないけど、素晴らしいお客さんが来ると信じている。そのためなら、ツアーで少し遠回りするのも全く悪くないよ。まぁ本当にお客さんが素晴らしいかは不明だけどね 

Q: セルビアについて、どんなことを知っていますか? ここ数十年の間に起ったことについてご存知ですか? 
A: レジスタンスがあったことは知っているし、CANVAS(Center for Applied Nonviolent Action and Strategies = セルビアの民主化組織)についても聞いたことがあるよ民主化要求運動は、いつも僕をインスパイアしてくれる。もちろん民主主義と公表されていても、実際にはそうじゃない国があることも、よく分かっているけどね。そして「民主主義」という言葉は、人々に対する武器として使われることすらある。僕はミロシェビッチの没落について知っているけど、セルビアの専門家ではない。でも僕らは何かを発言するために、専門家である必要があるだろうか。そんなことはないよね。通常僕たちに必要なのは、常識と自分自身の知恵だけだよ。 

Q: あなたは最近自伝を発表しましたね。次に計画しているのは、同じく自伝的な作品ですか、それともフィクションとなるのでしょうか? 
A: 僕の自伝に対して、人々が大きな興味を抱いたことは、かなりの驚きだったよだから今、新しいものを書いているところだ。まだ具体的な話をするには早すぎるけど、作業に取り掛かっているのは間違いないよ。 

Q: セットリストについてはいかがですか? 毎晩曲目を変えるのか、あるいはだいたい固定ですか? 
A: 人々が何を聴きたいか考えることは、あまり意味がないと思っている。だから僕は自分自身が聴きたい曲を選ぶよそうすれば、少なくとも1人は幸せにできるからね。実を言うと、曲自体はそこまで重要ではないという印象を受けることが多い観客はほとんどいつも満足しているよ。 

Q: 今日のポピュラー音楽シーンを、あなたがキャリアを開始した当時のそれと比べたとき、どのように感じますか? 
A: 未だかつて、そのようなシーンに自分が属していると感じたことはないよ。当時も今もね。興味深いことに、今週チャート1位の曲を知っている人なんて、僕の周りにはまるでいない。かつて僕らは、トップ40の曲を全て覚えていたのにね。今のチャートは、メジャーレーベルのマーケティング部門が作り上げ、観客が本当に好きなものとは関係ない。ちょうど先週テレビを見ていたら、4曲もチャート1位に送り込み、今イギリスで最も聴かれているという歌手が出ていた。でも僕は今まで、彼女の名前を聞いたことは全くなかったよ。 

Q: “America is Not the World”という曲で、あなたはアメリカを「黒人、女性、同性愛者が大統領になることはない国」と表現しました。あれから大統領は黒人となり、ヒラリー・クリントンはその地位からそれほど遠くないように見えます。あなたはこれら全てが重要と考え、どのような変化をも起こしうると思いますか? 
A: オバマの外見は黒人だが、物の見方はまるで白人だ。従って、彼の肌の色は何も変えなかったと言える。マイケル・ブラウン(*今年8月にミズーリ州ファーガソンで、白人警察に射殺された黒人少年)の事件がその証明だよ。ヒラリーは分別があり、周りをイライラさせるような人物ではないアメリカの政治家にしては珍しいよね。でも僕らは、マーガレット・サッチャーを忘れてはいけない。英国初の女性首相だったが、彼女には憎しみという感情しかなかった。イギリス人は二度と、女性をその地位には就けないだろう。変化というものは、扉を開けることもできるけど、同じように閉じることもできるよ。 

Q: 世の中で、未だかつてないほどにお金が重要になってきていると思いますか? そしてセックスこそが、この地球を動かしていると考えますか? 
A: メディアは、セックスがまるで僕たちの周りに満ち溢れているかのように伝える簡単に触れられるかのごとくね。でも僕には、現実はそうじゃないように見える。メディア上では、セックスが僕たちに手を振ってウィンクしているけど、実際はとても隔離されている。こういったこと全てが、人々を混乱させていると思う。僕らがお金に取りつかれているのは真実だけど、宇宙旅行にも取りつかれている。宇宙に行くことが僕らに利益をもたらすという証拠なんてないのにね。月が僕らに何を提供できるのかな。どうして僕らはこんなにこだわっているのだろう。 

Q: かつてあなたは、スージー・スーと “Interlude”という曲をレコーディングしましたね。どのような経験でしたか? 
A: 悪くない経験だったけど、彼女は最初からあまり社交的ではなかった。曲自体は、素敵に歌われていると思うよ。 

Q: デヴィッド・ボウイのプロデューサーであるトニー・ヴィスコンティと仕事をした人間として、ボウイの最新アルバム(The Next Day)について、あなたの意見を聞かせてください。 
A: 最初のシングルを聴いて、とても気に入ったよ。そしてデヴィッドがまた歌い始めたという事実にも、僕は好感を持った。何年か前にトニー・ヴィスコンティは、ボウイがもはや曲作りに興味を持っていないと言っていた。それはとても悲しいことだよ彼がミートボールをほじくり返すことに余生を費やすなんて。それは悲しすぎる。彼が新しいアルバムをリリースすると聞いたとき、僕は驚いたし、嬉しかった。でもあのジャケットは壊滅的だった結局アルバムは聴かなかったよ。 

Q: 80年代や90年代のバンドが再結成することに、何か意味があると思いますか? 
A: いや。人々が期待しているのは、そのバンドのかつての姿だ。だけどそれを再現するのは、無理な話だよ。 

Q: 過去の作品で、満足していない、ここは変えたい、というものはありますか? 
A: もちろんあるけど、ごくごく僅かな点だけだよ。過去の作品群には、おおかた満足している。 

Q: 最近の音楽で、何かオススメはありますか? 
A: アンナ・カルビ。彼女は素晴らしいよ。 

Q: アルバムを出したばかりですが、既に次回作の構想などありますか?
A: あるよ。新しいアルバムの曲は既に書き上げている。来年2月にはレコーディングできるといいね。 

Q: スミスについて一言も触れないインタビューはどのくらいの頻度でありますか? 
A: スミスについて言うことは、もう何もないよ。全て語り尽くされた。もはや誰も質問すらしないよ。