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2015年8月21日金曜日

1. A Rush and a Push and the Land is Ours / Strangeways, Here We Come



突き進んで押し込めば、この大地は僕らのもの


ねぇ聞こえる?
僕は悩み多きジョーの亡霊
18ヶ月くらい前に、彼の可愛い真っ白な首は吊るされたのさ

僕は摩訶不思議な時空を訪れた
でも自分のベッドが恋しくなったから、すぐに帰宅した

彼らは言った
「君の血流はカフェイン含有量が多過ぎる。
そして君の人生には、本物のスパイスが欠如している。」

僕は言った
「ほっといてくれ。僕は何とかやっている。
未だに一人ぼっちでいるのは、驚きだけど

でも愛だけは口にしないで
あの痛みの重圧をまた味わうのはごめんだ
突き進んで押し込めば、今踏みしめているこの大地は僕らのもの
かつてはそうだった
だから今一度、僕らのものにしよう
君と僕よりも醜い奴らが、必要なものを持って行ってしまう

でも愛だけは口にしないで
あの痛みの重圧を、また最初から味わうのはごめんだ
突き進んで押し込めば、今踏みしめているこの大地は僕らのもの
かつてはそうだった
今だって僕らのものであるべきだ
そして君と僕よりも弱い奴らが、人生に求めるものを手に入れてしまう

でも愛だけは口にしないで
愛だけは口にしないで!
突き進んで押し込めば、今踏みしめているこの大地は僕らのもの
若さは無くなってしまったかもしれないけど、君は今でも若い男だ
だから電話して、僕に電話して、電話して、電話して、電話して、電話して

恋に落ちているのかもしれない、恋に落ちているのかもしれない
恋に落ちているのかもしれない(恋に落ちているのかもしれない)
あぁ、恋に落ちているのかもしれない
あぁ

2014年12月18日木曜日

the Smiths Interview / International Musician (1983.10)



英国の音楽誌 "International Musician"1983年10月号に掲載された、the Smiths (モリッシー&ジョニー・マー)のインタビューです。バンド最初期の取材と思われます。二人の出会い、1stアルバムのレコーディング、音楽業界について語っています。アルバムリリース前のインタビューであり、その後の事実と相違する箇所がありますが、そのまま翻訳しています。モリッシーがギターについて語るくだりは、かなり興味深いです。
原本URL : なし
出版日 : 1983年10月

以下、筆者による翻訳。 

花々を振りかざし、エイドリアン・ディーボイ(International Musician誌の記者)につきまとわれながら、ザ・スミスがやってきた。

ザ・スミスは絶対に失敗しない。彼らはそう信じている。1976年の残骸が、その臭い吐息を振りまく中、ザ・スミスは新しい風を運んできた。爽やかな笑顔で、花を手に持ち、絶好のタイミングで現れた。魅力的でありながら少し変、そしてどこか気の抜けた音楽は、私たちを躍らせ、魂に訴えかける。

彼らは素晴らしく横柄で、彼らの意見はいつしか聴き手の意見になっている。ラブソングなど歌わず、セックスについて歌う。見た目だけ綺麗で耳障りな、巷の音楽とはまるで無縁だ。

ザ・スミスは理解し易い。彼らは私たちの言葉で歌い、一度聴いたら忘れられない曲を奏でる。文字を司り、歌うモリッシー。曲を司り、ギターを弾くジョニー・マー。ベースのアンディ・ルーク。ドラムのマイク・ジョイス。このありきたりなラインナップは、昨年マンチェスターで生まれた。

ホテルのバーでフルーツジュースを飲みながら、モリッシーとジョニー・マーは質問に答えてくれた。ザ・スミスは決して失敗しないと力説し、本誌が今まで積み上げた信頼の実績を、彼らに賭けみようという気にさせてくれた。

君はどうやって子供を連れ出し、育て上げたのか。そろそろ語ってもいい頃だよ。(“Reel Around the Fountain”の一節より。) 

J: 「モリッシーと一緒に曲を作ってみたかった。彼の噂は山ほど聞いていたし、歌詞を書いているとも知っていた。だから彼を追い詰め、一緒に23曲作った。本当に上手くいったよ。すぐに何曲も作り、レコーディングしようと決めた。そこでベーシストとドラマーが必要になった。僕はアンディを学校の頃から知っていて、今では最高のプレイヤーになっていると分かっていた。その後マイクを紹介してもらった。彼は本当にモチベーションの高いドラマーだよ。全員でスタジオに入ったとき、これはすごくなると確信した。この面子でやっていこうと決めたよ。」
M: 「とても自然な流れだったよ。奇妙だけど自然だった。最も自然に感じられることは、実はとても奇妙だ。そういうものだよ。僕らは口論したり、戦略を練ったりはしなかった。ただ流れに身を任せた。まさに完璧だったよ。」 
J:「最初に会ったとき、モリッシーと僕はどちらも、ダスティ・スプリングフィールドやシャンディ・ショーのシングル盤に対する情熱を持っていた。ピクチャースリーブに入った、最近のプラスチック板みたいなやつじゃないよ。素晴らしい演奏とプロデュースが施された、不朽の名作と呼べるレコードさ。」 

Q: 今日のザ・スミスは、あなたが思い描いていたバンドですか?
J:「まさにその通りだよ。ギターに支配されているのではなく、あくまでもメロディを生かすために使われている。このやり方はマイク、アンディの二人と、本当に上手く合うよ。アンディは驚くようなプレイをするからね。コード進行と曲名を伝えられただけなのに、彼にしかできない演奏をする。ライブバンドとしても、望んだ通りになっている。モリッシーという感情に訴えかけるボーカリストがいて、決してビートを逃さないアンディという勤勉なベーシストがいる。同じことがマイクにも言えるよ。バンドとはまさにこうあるべきだ。ソングライターとリズム隊という構成だね。」

ザ・スミスのデビューアルバム “The Hand That Rocks the Cradle”のレコーディングは終了し、トロイ・テートによって最終的な仕上げ作業が行われている。これまでに発表されたスミスの録音は、 “Hand in Glove”“Reel Around the Fountain”という2枚のシングル、そしてRadio Oneのために行った3回のセッションである。 

M:「正直に言うよ。セッションはあまり楽しくない。僕らの音楽が国中で流れることは素晴らしいよ。だけどセッション自体はあまり楽しいものではない。プロデューサーは飽きているし、スタジオに入った瞬間から、11秒が過ぎるのを気にしなきゃいけない。」 
J: 「最初にジョン・ピールのセッションをしたとき、そこの人たちの高圧的な態度にやられてしまった。でもトロイがやって来て、状況を改善してくれたよ。僕らはプロデューサーに話さなかったし、彼も僕らに話さなかった。何を言うべきか、お互いに分からなかった。でもトロイのおかげで上手くいったよ。」 
J: 「アルバム制作中も、トロイは偉大な存在だった。モリッシーと僕は曲に対して情熱的で、ベースやドラムの音を正しく録音するために、810時間も費やす。そういうときは、中立的な立場でアンディやマイクを励ましてくれる人が必要だ。僕らは車輪を持っていて、トロイはそれを動かしてくれた感じかな。スタジオも本当に良かったよ。良い雰囲気だった。ワッピング(ロンドンの東部地区)にあるエレファントスタジオさ。エアー(ロンドンの名門スタジオ)ではないけど、まぁエアーである必要もないしね。」 
M: 「究極のアルバムになってほしいよ。これからの余生、このアルバムは僕らにつきまとう。40歳になっても、このアルバムには僕らの名前が刻印されている。スタジオに入るときは毎回、そう考えて臨んでいるよ。」

君は簡単に流されやすいって人々は言う。まぁ半分くらいは正しいよね。(“Reel Around the Fountain”の一節より。) 

ジョニーのリッケンバッカーは注目の的だ。 

J: 「このギターについてはよく考えるよ。マスコミから注目を浴び始めてから、もっと考えるようになった。自分が影響を受けているものを、僕は分析したりしない。色んな人のプレイを焼き直して、自分のオリジナルだなんて言いたくないよ。」 
J: 「僕らの曲には一定のクオリティがあると思う。ギターで書かれていて、過去の音楽の歴史を受け継いでいる。僕らの曲には、フィル・スペクターっぽいもの、フェアポート・コンベンションっぽいものもある。曲を書くときは、ギターはもちろん、ストリングスやピアノのパートも想像している。ギターを完璧にマスターしたいという欲求は、高まっているよ。沢山のギターを買えるようになって、スタジオやリハーサルに割く時間が増えるにつれ、その思いは更に強まっている。」 
J: 「ギターの音色は自然に生まれたよ。ネオ・サイケデリックな音を目指していたとか、そういうことじゃない。ある日アンプをいじっていて、ちょっとベースが強すぎるなと思った。コーラスのエフェクターを使ったけど、どこか違った。だからリバーヴを加えて、いくらかプレゼンスも足した。気に入らない要素を排除していったら、あの音になったよ。ギターの音色はメロディックじゃないとね。もちろんギターは、パワフルにもリズミカルにもなれる。でも僕らのバンド編成、そして僕らの曲に求められるのは、メロディックさだよ。」 
M: 「ギターという楽器について、人々は誤った幻想を抱いている。ここ数年の使われ方は、ギターを完全に無駄死にさせているよ。 
M: 「シンセサイザーの台頭によって、ギタリストは窓の外へ追いやられてしまった。そして1979年からベースが流行り、ギタリストは再び追いやられてしまった。長時間ソロを弾き続けるような、下劣なギタリスト以外はね。でもジョニーが全て変えるよ。僕が保証する。」 

Q: ザ・スミスのレコードにシンセサイザーが登場することはありますか?
M: 「そんなことを考えても仕方ないよ。それよりはアスリートの脚とか、死について喋りたいね。シンセサイザーについては、何も言えないよ。」 

Q: モリッシーはスタジオで何をしているのですか?
M: 「飛んだり跳ねたり叫んだりそれは冗談で、僕の専門分野である声を管理している。スタジオにいるのは数日だから、あまり多くはできない。だから可能な限り完璧な形で、作品に貢献しなければいけない。それが僕の役割だ。もし何ヶ月間も使えるなら、全てを細かく分析しながらレコーディングできるけど僕らはそうじゃないからね。」 

Q: あなたの歌声はマンチェスターを思わせますね。 
M: 「自然な形にしたかった。誰が何と言おうと、僕はマンチェスターで生まれて育った。オーストラリア訛りで歌う理由はないよ。アメリカ人の真似をしても仕方ないし、僕にはボヘミアン・ラプソディなんてできない。トライする意味もまるでないよね。」 

Q: あなたの言葉は歌詞ですか? 詩ですか?
M: 「僕はジョニーの曲に歌詞を叩き付ける。それを詩と呼ぶ人もいるし、別の名称で呼ぶ人もいる。歌詞を書くときは、曲のテンポを想像しているよ。速い、遅い、中間テンポで歌詞の雰囲気が変わる。僕は沢山の歌詞を書いているよ。歌詞で埋まっている部屋もあるほどにね。」

この手を君の乳腺に触れさせてくれ。ねえハンサムな悪魔よ。(“Handsome Devil”の一節より。) 

私たちが日々気にかけていることについて、モリッシーは聡明で会話のような歌詞を書く。でも同時に、欲求不満、セックス、そして幼児虐待といった重要なテーマもつきまとう。こんないかがわしいテーマを歌うザ・スミスは、チャートとは無縁だろうか。 

M: 「チャートの中はいかがわしいテーマだらけだ。バカっぽい、というのはいかがわしいテーマだよね。でもチャートはバカっぽさで埋め尽くされている。僕らの曲はいかがわしくなんてないし、他の人にとってもそうだと思うよ。」 

Q: 大衆は「いかがわしい」ザ・スミスを受け入れる準備ができていますか?
M: 「もちろんさ。まだ慣れていないかもしれないけどね。大衆というものは、いつも浮かない顔をしている。僕らは頭を使って、賢い曲を書いていると思うよ。これが最もいかがわしいことかもしれないね。ちゃんと頭を使って書いたポップミュージックだ。とにかく僕は準備できているし、ジョニーも準備できている。他の皆も準備できているはずだよ。」 
M: 「普段レコードを買わない人々、コンサートに行かない人々に訴えかけていきたい。」

ザ・スミスは歌詞の面でも音楽の面でも、上品さを拒む。モリッシーはあなたの耳に言葉を吹きかけ、ジョニーはあなたの部屋の中で演奏している。親しみ易い一方、距離が近過ぎはしないだろうか。

J: 「ラジオで流れているような、聴き手から隔離された音楽に不満を持っている限り、僕らは誠実で触れ易い曲を作り続けるよ。何よりも僕らは、優れたミュージシャン、ソングライターとして認知されたい。僕らの曲はどれも自然に生まれくる。もちろんラジオ局はかけないタイプの曲だけどね。」

僕は君のものを笑い、あなたは僕のものを笑う。そして愛とはただの悲しい嘘だ。(“Miserable Lie”の一節より。)

Q: カルト的な成功と、大衆へのアピールをどう両立しますか?
M: 「自分の意志がいかに強いかが大事だよ。もし簡単にぐらつく程度の意思なら、ただ転落していくだけだ。どんな些細なことでも妥協したら最後、人々の関心は離れてしまう。レコードは売れるかもしれないが、誠実さを失ったことは誰の目にも明らかだ。誠実さを維持すれば、人々は信じてくれるよ。」 
J: 「妥協した途端、存在意義を失ったも同然だ。自分たちが信じる良い音楽を作って、人々に届けたい。自分の演奏をラジオで聞きたいだけなら、セッションミュージシャンになった方がいいよ。」 
J: 「誠実でありながら、成功して多くのレコードを売りたい。大衆受けもしつつ、僕ら自身が楽しめる曲を作っていくよ。中にはペダルスティール、ギター、そして声しか入っていない曲もある。もしそれが大衆受けしなかったら、今の音楽シーンがどれだけ腐っているか、ということだよ。」 

Q: 望む通りの形で作品をリリースすることは、大きな成功を収めることよりも大切ですか?
M: 「メジャーレーベルを疑問に思うのは、まさにその点だよ。僕らはアメリカのサイア・レコードと契約した。そしてラフ・トレードではレコーディング、アートワーク、その他全て、僕らが望む通りに作っている。作品に第三者の意見が入り込んでくるような契約なら、サインしないよ。」 
J: 「自分の曲が変えられてしまうなら、音楽をやる意味なんてないよ。プロデューサーによって音楽や大衆イメージが操作されるなら、もはや自分ではなくて、全く別のアーティストだよ。」 
M: 「考えうる最悪なことは、他人の意見を聞くことだ。多くの人が、その落とし穴にはまっている。人々はいつも、こうするべきじゃない、ああするべきじゃないと言ってくる。僕はもう、誰の意見も聞かないよ。聞く必要なんてないだろう。それはこのグループについても同じことだよ。僕らはやりたいことをやる。それで何かが起こるっていうのなら、それは起こるべきして起こったことだよ。」

僕は鞭をピシャリと打って、君は飛び跳ねる。でも君はそれに値するのさ。(“Handsome Devil”の一節より。)

Q: 成功することについて、どれほどの自信を持っていますか?
M: 「どうして成功しないのか、逆に聞きたい。僕らは成功を避けないし、成功を阻む要因を全く思いつけない。成功を蔑む人たちがいることは知っている。でもそれは、何一つ主張がないグループの言い訳だよ。僕らはマスコミから反発されているわけではないし、演奏する会場も大きくなっている。」 
M: 「全ては計画通りに進んでいるよ。こうなってほしいと思っていたことは、ある程度は実現した。この国中に広がるのを待つだけだよ。」 
J: 「そして僕らは本当に優れたミュージシャンになりたい。僕は19歳、アンディも19歳、そしてマイクは20歳だ。僕らは既に、最高のミュージシャンになりたいと思っている。アンディは世界一を目指している。本当だよ。」

一つになろう、太陽は僕らの背後から輝き始める。(“Hand in Glove”の一節より。)

M: 「僕らがやっていることには価値があって、この世の音楽産業、音楽シーン中で聞かれるべきだよ。可能な限り遠くまで、僕らの音楽をは届ける必要がある。薄っぺらくて、中身がないグループも大勢いる。でも最終的には彼らの名前が覚えられ、人々の唇は彼らの曲を口ずさむ。良くも悪くもね。僕たちは沢山の唇を征服しなきゃいけないようだ。」

ザ・スミスを受け入れよう。あなたは彼らの花を拒むことはできない。