アメリカの音楽サイト、Alternative Nationに掲載されたモリッシーの最新インタビューです。「モリッシーをフォローすることは、RUSHをフォローするのとはまるで違う。」のくだりは最高でした。
出版日:2015年6月10日
以下、つながり眉毛による翻訳。
今更説明の必要もなく、モリッシーはこの30年間のロック界において、最も影響力のある人物の一人である。the Smithsのフロントマンとして残した、4枚の永久不滅のアルバム。10枚のソロアルバム。そして「Meat Is Murder」という情熱的で強い信条とビーガン主義に基づく、政治的・社会的活動。
伝説的な元スミスのフロントマンに敢行したインタビューを、ここにお届けする。私たちが今までに行った全ての取材の中で、最も重要なもののひとつであり、Alternative Nationの「Morrissey Week」を始めるに相応しい内容となった。まさに今アメリカツアーを開始しようとしているモリッシーは、様々なトピックに言及している。ソロキャリア、自身の主義主張、Hillary Clintonと大統領選、そしてthe KillersのBrandon Flowersからストーキングされたことまで、全てを語った。
Q:あなたは11歳にしてベジタリアンになりました。それ以降、とても多くの人々に動物権利の問題を意識させ、ベジタリアン/ビーガン主義の、恐らく最も声高な支持者になりました。ベジタリアンになったばかりの頃、この問題について、今と同じような意識を持っていましたか?学校給食や家族団欒の席で、肉が振る舞われることは不満でしたか?
A:僕は給食をとっていなかったから、その毒を免れることができた。家族の集まりからも、とてもゆっくりと距離を置くようになった。皿に盛られた肉の欠片を見ていられなかった。僕にとっては、小さな子供が食べられているようなものだった。母親と姉もベジタリアンだったから、孤独は感じなかった。でも70年代には、このような意識を持っている人は皆無だった。だからいかなる社会的な集まりにも参加できなかった。死んだ豚の匂いには、とても耐えられなかった。
僕には32歳と24歳の甥がいるけど、彼らは動物の肉や魚を口にしたことはない。自分の子供に動物の死骸を与えるなんて、実に狂っているよ。肉に含まれるプロテイン云々も、僕らを洗脳するための作り話だ。チキンの90%は成長ホルモンだ。君たちが子供に与えているのは、鶏肉ではなく、成長ホルモンだ。なんてお洒落で、食欲をそそられる話だろうか!(皮肉)
Q:15年前、マリファナ活動家は2020年までに達成する目標をリスト化しました。音楽とポピュラーカルチャーが、世界中で人々の考え方を変えていった結果、その多くは達成されたと言えます。2035年のことを考えましょう。動物権利の活動家は、今日と比べて、何を勝ち取っているでしょうか?
A:その頃までには、動物を食べることがタバコと同じくらい危険だと、人々が理解していることを願うよ。入院している人々の多くが、食肉がもたらす病気で苦しんでいる。一方、菜食による病気で苦しむ人はいない。僕は敢えてベジタリアン(菜食)という言葉を使っているけど、実際にはビーガンを意味している。僕は人々に、まずは第一ステップであるベジタリアンを目指してほしい。ビーガンはその次だ。普段肉を食べている人に、いきなりビーガンになれと言うのは無理がある。しかしベジタリアンになることなら、説得の余地はあると思う。僕は先週からダラスにいるけど、全てのTVCMはステーキかチキンを宣伝している。まるで全国民を腸疾患か癌で一掃したいかのようだ。そしてそれこそが狙いだ!
Q:あなたは自分の主張をコンサートに反映し、公演をキャンセルすることもあります。それは毎回、大きな議論を呼んでいます。あなたにとっては、それもブランドの一部であり、音楽と同じくらいメッセージを重要視しているということですか?
A:第一に、誰がどんな公演をキャンセルしても、モリッシーがキャンセルした公演ほど大きな注目を集めることはない。そしてそれは、実際に公演が行われた場合よりも、大きな反響を呼ぶんだ!僕は確かに公演の誘いをよく断る。その会場が菜食主義を採用しないからね。多くの場合、コンサート日程が公表される前に、僕はオファーを断っている。それでも人々はその話題を引っ掻き回す。僕にまつわる、絶え間ないドラマを楽しんでいるようだ。モリッシーをフォローすることは、RUSHをフォローするのとはまるで違う。日々の論争やら何やらで、モリッシーのホットラインは常に燃えたぎっている。退屈なわけがない。僕は中国からアリーナ公演の誘いをもらった。でもその会場は殺戮行為を止めようとしなかった。だから僕はさよならを告げた。アイスランドも同じだ。彼らにとって、十分な量の血が流れることはない。僕がスウェーデンのエーテボリでコンサートを行ったとき、会場に併設されているマクドナルドが閉鎖された。素晴らしいよ!もし他のアーティストが同じことを成し遂げたら、直ちに世界規模の大ニュースだ。でも僕だったから、沈黙だった。
Q:あなたはアメリカの政治についても、頻繁に語ってきました。しかしあなたの音楽自体は、英国やその周辺地域の政治に特化しています。一方ここアメリカにも、政治を歌う曲が沢山あります。それらの曲があなたに訴えかけ、あなたの精神をこの国へ導いたことはありますか?
A:アメリカの実情を歌った、聴き手を奮起させる政治的な曲は、もちろんある。最も有名なところでは、Buffy Sainte-Marieの「Moratorium」、Bob Dylanの「Times They Are A-Changin’」、Edwin Starrの「War」。Joni Mitchellが「神よ、古き良きアメリカを救いたまえ。この国は勇敢な者、自由な者の故郷。私たちは救いようもなく抑圧された臆病者。」と歌ったこともあった。Melanie Safkaはとても痛烈だと思った。Phil Ochsもそう。Billie Holidayは「Strange Fruit」を歌った。僕がラップに影響を受けることはないけど、「Fear of a Black Planet」「Mamma, Don’t You
Think They Know」といった曲が、Nina Simoneの「To Be Young, Gifted and Black」と同じくらい、秀でていることは理解できる。
僕が思うに、ラップはアメリカの白人社会を死ぬほどの恐怖に落とし込んだ。彼らは真実を語っている。James Brownはかつて、「大声で言うよ。俺は黒人。そしてそれを誇りに思う。」と歌った。今日のポップアーティストがこんなことを言えば、直ちにレーベルから追い出される。もしBillie Holidayが2015年にCapital Recordsへ近寄ったとしても、彼らは一秒だって彼女には取り合わないよ。
僕の精神はアメリカに導かれていると言える。この国の一部だと言う自覚が、とても強くある。大きい街、小さい町、ほとんどの場所で演奏してきた。僕の音楽人生において、アメリカはとても重要だ。観客は素晴らしく、いつだって誇りに感じてきた。僕はメインストリームの枠から追放されているけどね。でもそれが人生さ!僕とBillie Holiday。少なくとも、どちらも面白い人間ではあるよ。
Q:あなたはかつて、大統領選に出馬していたHillary
Clintonを痛烈に批判しました。「Barack Obamaに幸あれ」とも言っていました。今、新たな選挙が始まり、オバマは退き、ヒラリーは再び出馬します。それが誰であれ、新たな大統領が誕生します。この数年を経て、選挙やヒラリーに対する特別な思いはありますか?また、オバマへの気持ちに変化はありますか?
A:僕がヒラリーを批判したのは、最初の選挙で彼女がオバマを嘲ったからだ。しょうもないことをすると思った。でも今では、彼女は当確だと思う。競争相手なんていない。アメリカの政界にいる他の女性を見てみるといい。Michelle Bachmann、Ann Coutler、Sarah Palin。全員おそろしいスパイク頭だ。一方ヒラリーは冷静で、まともに見える。
しかし女性大統領が全てを変えるというわけではない。Margaret Thatcherが示したように、もし悪い方向に進めば、もう二度と女性が舵を取ることは無い。サッチャーは実際に、イギリスの政界にいる全ての女性から希望を奪い去った。彼女以降の歴史が物語っている。そしてもちろん、彼女が自らの政党から締め出されたことを忘れてはいけない!彼女のチームですら、彼女には我慢ならなかった。一般の人々がどう思っていたかは、想像に容易いよ!
選挙で誰が当選するかなんて、最初から決まっている。実際に当選した候補者へ投票した人の数は、それ以外の候補者への投票数よりも少ない。従って、首相や大統領になった人が、大衆から好かれていると考えるのは間違いだ。全て目をくらます幻想だ。プーチンがロシアの人々から好かれている証拠は何もない。でも彼は、その席に何とか居座る方法を知っているようだ。
オバマを見ていると、僕は当惑してしまう。黒人が最も助けを必要としているときに、彼は手を差し伸べない。ファーガソンの一件で、それがハッキリと明らかになった。もしMichael Brownが自分の娘だったら、オバマは人々に治安部隊を支持しろなんて言わないよ。大体、市民を怖がらせるようなものが、どうして治安部隊なんて呼ばれるんだ?オバマの内面はまるで白人だ。アメリカには明らかな人種の隔たりがあり、それは爆発しかけている。無実の黒人が白人警察官に殺されても、彼は何もしない。そして警察官は決して責任を問われない。黒人でいるということは、どういうことか。彼は理解していると誰もが期待していたが、実際は違うようだ。アメリカの警察が暴走しているのは、世界中に知れ渡っている。そんなときに、人々に治安部隊を支持するように言って、何の意味があるだろう。
Q:「How Soon Is Now?」「There Is a Light That Never Goes Out」「Suedehead」はとてもパーソナルな歌です。一方「Meat Is Murder」「Panic」といった、より広いメッセージを持つ曲もあります。これら二つを、どのように比べますか?
A:「Suedehead」がパーソナル?本当に?まぁ何というか、僕が歌う全てのことは、広いメッセージを持っている。それが聴き手に届くかどうかは別としてね。メッセージと呼べるものを持っているバンド、アーティストは極めて少ない。しかし僕には言うべきことが沢山ある。そしてそれがハーベストを死ぬほど怖がらせたのさ。
Q:あなたはこれまでずっと、愛する街を歌のモチーフにしてきました。ロサンジェルス、ローマ、そしてイスタンブール。この寂しい惑星(“lonely planet”)で、あなたがまた恋に落ちる新しい都市はありますか?
A:僕はポーランドに惹かれているけど、歌にするほど多くをまだ知らない。そして南アメリカは僕をいつもワクワクさせてくれる。前回ペルーを訪れたとき、僕は食中毒にかかって、正式に9分間死んだ。楽しかったよ。
Q:「Southpaw Grammar」の制作・リリースから今年で20年です。David Bowieのアウトサイド・ツアーでオープニングアクトを務めたこと、自身のボクサーズ・ツアーも1995年でした。あなたはずっと、年を重ねることの素晴らしさを表明してきましたが、この期間について、思い出はありますか?
A:意外でも何でもないだろうけど、僕にとっては難しい時期だった。「Southpaw Grammar」はとても気に入っていたけど、レーベルは全く興味を示さなかった。アメリカのリプリーズも、ロンドンのRCAもね。あのアルバムはもはや、犯罪的と言っていいほど、過小評価されている。バンドは完璧に花開いていた。しかしアルバムがリリースされたときには、僕は既に契約を解消されていた。次のシングルがどこからリリースされるのかも、全く分からなかった。バンドはあまりにも素晴らしかった。ついに世界が両手を広げて、モリッシーのバンドは不死身の武装集団だと認める時がきていた。でも実際は違った!沈黙が平野を駆け抜けた!リプリーズの代表が僕に向かって、彼らはこのアルバムのために何もしなかったと認めたよ。そんなときにどうすればいい?泣き寝入りか?
Q:あなたの「Autobiography」はベストセラーになり、既にクラシック作品の仲間入りをしています。それに続く小説についても、何回か話題に上っています。進展はありますか?
A:既に出版社の手に渡ったよ。いつ発売するのか、彼らが決めている最中だ。明日かもしれないし、2071年かもしれない。いずれにせよ、既に僕の手を離れたよ。
Q:Harvest Recordsを離れた後、「Kiss Me A Lot」をAtom Factoryからリリースしましたね。彼らとの関係はいかがですか?これは一回限りの契約ですか?それとも長期にわたるものですか?
A:彼らとはまだ契約すらしていない。ずっと良き友人であり、iTunesからのリリースにも協力的だった。でもここからのことは、僕はノーアイデアだよ。
Q:今年既にヨーロッパとオーストラリアのツアーを終えて、全てはうまくいっていますか?Mando Lopezが加わったことで、あなたが目指していたことは達成されましたか?
A:マンドは素晴らしいよ。もう立派に家族の一員だ。バンドは信じられない程に力強く、僕の歌声も上々だ。音楽業界にそびえ立つレンガの壁以外は、全てが問題なく進んでいる。オーストラリアは最高だった。観客がくれた称賛は、息をのむほどだった。色んなことがあった後、今でもね。
Q:大した話ではないですが、the
KillersのBrandon Flowersは数年前、ホテルであなたをストーキングして、あなたが彼のソロアルバムを気に入っていると聞き出したらしいですね。
A:the Killersは「Why Don’t You Find Out For Yourself」をカバーしてくれた。とても高尚で、丁寧な仕上がりだった。僕は永遠に、彼らに感謝するよ。そしてブランドンはいつだって、僕について良いことを喋ってくれる。安堵の気持ちでいっぱいさ!
そう、確かに彼は数年前にホテルで僕をストーキングしていた。でも僕には彼が見えていたし、彼がやっていることも分かっていた。とても面白かったよ。僕にとってはね。
0 件のコメント:
コメントを投稿