米エンタメサイト「The Hollywood Reporter」に掲載されたモリッシーのインタビューです。この手のメディアとしては、なかなか内容の濃いインタビューになっています。
原本URL:http://www.hollywoodreporter.com/news/morrissey-smiths-reunion-label-woes-424971
出版日:2013年2月27日
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原本URL:http://www.hollywoodreporter.com/news/morrissey-smiths-reunion-label-woes-424971
出版日:2013年2月27日
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the Smiths再結成、レーベルを巡るいざこざ、そしてPaul McCartneyが「爵位を返上するべき」理由について、モリッシーが語る(Q&A)。
混沌と心の葛藤はこの一ヶ月間、モリッシーの世界を悩ませている。バレット食道、出血を伴う潰瘍、そして脳震盪という最悪の組み合わせにより、彼はアメリカツアーの延期を余儀なくされた。そしてDuck Dynasty(米テレビ局A&Eの人気番組)の出演陣と一緒にJimmy Kimmel Liveへ出演するオファーに気分を害され、彼は数少ないテレビ出演をキャンセルしてしまった。
しかしモリッシーは決して消えない明かりである(「a light that never
goes out」)。3月2日にロサンジェルスのHollywood High Schoolで開催されるコンサートは、今週火曜日に僅か12秒で完売。この53歳のアイコンは金曜日にツアーへ復帰し、LAのStaples Centerで満員の観客に向けて演奏する。モリッシーとの契約により、この20,000席の会場はその夜、食肉製品を一切販売しない。(Paul McCartneyも同様のリクエストを出したが、会場から断られている。)
典型的な皮肉たっぷりの口ぶりで、この雄弁な英国紳士は、動物の権利を守る活動、思い通りにならないレーベル捜索、そしてthe Smithsが再結成しない理由ついて、本誌の質問に答えた。
The Hollywood Reporter(以下THR):ステープルズはなぜ、あなたのリクエストには応えて、Paul McCartneyには断ったのでしょうか?
Morrissey(以下M):ステープルズが自分にはノーと言ったのに、僕にはイエスと言ったのを知って、ポール・マッカートロード卿が激怒したと聞いた。愉快だったよ。でも本来なら、動物たちが得たいかなる勝利にも、僕らは喜ぶべきだよ。彼がPETAのために休むことなく働いているのは知っている。でも彼は同時に、動物を残虐に扱う英国王室も愛している。女王が着ている毛皮の量で、ロシア全土がほぼ覆い尽くされてしまう。彼はかつて「アイルランドに平和を」を女王に向けて歌って、彼女から拒否された。そして今でも拒否されているのに、ポール卿は彼女にグーサインを出している!もし情熱をもって動物を大切にするなら、彼は爵位を返上するはずだよ。女王から認めてもらう必要なんてないだろう。彼女の想像の範囲を超えて、彼は世界中の人々に多大なる喜びを提供しているよ。
THR:菜食主義者としてのあなたは、音楽家としてのあなたと同じくらい有名です。これはキャリア開始当初から望んでいたことですか?
M:いや、でも世界はこの30年間で激変したよ。今では僕のような人間はもっと多いし、みんな動物虐待に死ぬほど嫌気がさしている。動物を食べている人たちですら、間違っていると公然に認めているよ。
THR:動物が食肉処理される場面をとらえた、PETAのMeet Your Meatという映像をバックに、あなたはMeat
Is Murderを演奏します。そのショッキングな映像に、コンサートを途中退場する人もいます。なぜあの映像を見せるのですか?そして観客はそこから、何を学んでいて欲しいと思いますか?
M:あの映像に出ている動物たちも、決してその場にいたかったわけではない。そして彼らも撮影されている最中に、その場を立ち去りたかった。それを忘れてはいけないよ。食肉を支援するために、吐き気がするようなプロパガンダが、数多く展開されている。こちらも思う存分やらなければ、もはや反撃できない。紳士的な笑顔を保ち、相手が高潔で議論を受け入れてくれると思い込んでいても、仕方がないよ。食肉処理場に足を踏み入れれば、事の重大さが理解できる。
THR:あなたはまさにこれからアメリカツアーを再開しますね。Brooklyn Academy of Musicでの公演が、歴代ベストの1つだったらしいですが、素晴らしいコンサートを作り上げる要素はなんですか?
M:会場の全体的な構造は重要だけど、その夜を作り上げるのは観客だ。この凝り固まった社会の日常では許されないけど、コンサートでは、人々は本当の姿をさらけ出す。観客からの愛情と激情を目の当たりにするのは、素晴らしいよ。その夜の成功は、僕の努力だけにかかっているわけじゃない。僕を見るために人々がやってくると思われているけど、実際は僕が観客を見るためにやってくるのさ。僕は列に並ぶ必要はないし、会場の警備員から取り囲まれることもないけどね。
THR:あなたの最後のアルバム、Years of
Refusalは4年前にリリースされました。レーベルと契約するまでは、次回作のリリースを控えている状況ですか?
M:そう。僕にはDIYの本能はないし、メジャーレーベルからの作品じゃない限り、音楽界は僕を完璧に無視するからね。
THR:あなたはかつて、メジャーレーベルを経営する人たちから、「スーパースター」とは見られていないと言っていましたね。しかしあなたは、ここアメリカや世界中のアリーナを完売にできる力を持っています。そんな力を持っているあなたに、レーベルからミーティングの誘いやオファーはありましたか?
M:ソニーからのみすぼらしいオファーはあったけど、他には何もないよ。知恵ある人を探す旅は続いている。ヘルプ!
THR:多くの若いアーティストは、メジャーレーベルという考え方を、古風と捉えています。例えばレディオヘッドのような名高いアーティストたちも、新しい音楽提供の方法を検討しています。伝統的なレコード会社と契約することは、あなたにとってなぜ重要なのでしょうか?
M:彼らはまだ存在しているし、組織の力を持っていて、その力を使いたいときに使えるのさ。グラミーを見てみなよ。受賞者のほとんどは、世間での人気とは無縁だろう。
THR:映画化もされているThe Perks
of Being a Wallflowerという本の中で、孤独な十代の主人公はthe Smithsをお気に入りのバンドに挙げています。作家のStephen Chboskは最近、あなたと出会った感動をツイートしていました。四半世紀も前にスミスが作った音楽は、どうして今なお魅力的なのでしょうか?
M:多くの人たちは、the Smithsに対してホームシックになっている。それは他の音楽が酷いからではなく、スミスの曲が良いからだ。ほとんどのバンドは、まともな曲が2つあれば、五つ星のレビューがもらえる。簡単なものさ。でもスミスはプロモーションされたことはないし、ラジオで流れたこともほとんどない。でもこの神秘さこそが、バンドをずっと守っているのさ。ただし再結成は絶対にない。バンド結成当時と同じ精神が残っていれば、再結成は成立する。でも僕らはそうじゃない。
THR:自伝の状況を教えてください。出版社や出版日、その他何でも、新たな情報はありますか?また、執筆活動は痛みを伴う作業ですか、それとも心が癒される作業でしょうか?
M:今までの人生で僕は、「現在」に属していると思ったことはない。漂っている幽霊のようなものさ。肉体ではないの。自伝を書くのは、自分への忠誠であり、心が癒される作業だ。たとえ原稿用紙がナルシズムではなく、自己嫌悪で埋まっているとしてもね。もし近いうちに出版されなければ、こんな本燃やしてしまうよ。
THR:Hollywood High
Schoolのコンサートが予定されていますね。Carole Lombard、Judy Garland、そしてMickey Rooneyが卒業生だとご存知の上で、この会場を選んだのでしょうか?
M:いや、あまり関係ないよ。The Cat
and Fiddleへ行くのに便利なだけさ。
THR:最近ハリウッドでKirk Douglasを見かけたとき、大きな畏敬の念で、話しかけられなかったそうですね。あなたに同様の効果をもたらす人物は、他にいますか?
M:僕が思うにカークは、現存する最後の偉人だ。彼の存在を前にして、僕は底なしに深い畏敬の念にかられた。こういう人々は、大統領よりもずっと重要だ。James Dean、Elvis Presley、Marilyn Monroe。彼らと同じくらい有名で、愛されている大統領がいるかい?大統領なんてそんなものさ。僕の会いたい人リストは完成したよ。素晴らしい俳優のほとんどは、もうこの世にいないしね。カーク・ダグラスは、死をも乗り切ったと言えるよ。
THR:本誌読者へ何か他にメッセージはありますか?
M:出産に伴う痛み、そして全ての男性が、男ではないということかな。でもこれは別の機会に話そう。
Tom Brennanのレポートによる
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訳:つながり眉毛